https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/column/ayumi34
曩に広辞林を編纂するに当り、其内容の充実に努めしことは勿論ながら、同時に其外形の尨犬に失する弊を避け、日常の使用に対し恰好の大いさを保たしめんがためにも、甚深なる注意を払ひたり。広辞林の愛用者は其各頁に於ける植字法の如何に忽せならずして、不経済的なる余白の極度に減少せられたることに注目せられなば、必ずや編者の苦心に対して同情を惜しみたまはざるべし。爾来編者は更らに広辞林に適度の取捨を加へ、携帯用としての小形辞林を発行せんがため、専心努力中なりしが、今や社業漸く就り、茲に小辞林の名を以て、これを公にするに至れり。
小辞林はこれを広辞林に比し、頁数に於て漸く其半を稍超過したる程度のものなりと雖も、削除せられたる語は多く古典に属するものにして、新時代の用語並に外来語に於ては反って著しくこれを増補したり。故に机上の広辞林と袖珍の小辞林とは両々相俟って社使命を果すべき関係にありといはざるべからず、敢て自からこれを江湖に薦むる所以なり。
凡例
一、語詞の排列は凡て五十音順に拠る。但し「ー」符を以て表はせる長音は各其短音の後に置き、促音は「ツ」部に、撥音「ン」は最終即ちワ行音の後に加へたり。
二 本書の語彙中に出でたる国語は凡て歴史的仮名遣に拠り、其直下に片仮名を以て写音的の細注を施せり。漢字音はこれに反し、一切写音的仮名遣を用ひ、其下に{を冠して歴史的仮名遣を注記せり。英・仏・独・露等の欧洲語は片仮名を用ひてこれを標記す。
一、国語中特に仮名遣の誤り易きものは、其写音仮字を掲げて語彙の列中に加へたれば、故らに検索するの労なかるべし。
一、本書中使用せる写音的仮名遺は、大体に於て文部省仮名遣改定案に従ふ。
一、本書に於ては動詞の自他を分つのみにして、用言を通じで一切の活用形を標記せず。故に同形語の重出せるは。其活用形の同じからざる結果なりと知るべし。
一、本書の編纂に関しても亦足助直次郎氏の終始一貫せる助力を得たり、特に記して謝意を表す。
あ【足】〜をんな【女】 1-975
難訓索引 1-15
字音一覧 1-5
奥付
昭和三年九月十二日発行
昭和四年九月二十日十三版発行
昭和八年五月十日廿五版発行
昭和九年三月十五日四十版発行
昭和十一年三月三十日六十版発行
昭和十二年十月五日七十版発行
昭和十三年二月壱日八十版発行
昭和十三年十一月三日九十版発行
昭和十四年三月廿八日百版発行
昭和十四年八月二十日百五版発行
小辭林(クロース製)
定價 金弐圓参拾銭
編者 金澤庄三郎
発行所 三省堂出版株式會社
貼付刊記
昭和三年九月十二日發行
昭和二十一年二月五日 一六三版発行
小辭林
税込定價 金二十五圓
編者 金澤庄三郎
発行所 三省堂出版株式會社