小島信夫 小説
ミチ子は相手が自分を女と思ってなめてかかっているということが分っているので、何故そんなに英語が好きになったか、モデル・ティーチングをやりたいのか、あなたのどの発音がアメリカ南部で、どの発音が東部で、日本で云えば、青森弁に九州弁がまざっているようなものですわ、と英語の気易さでついはげしい応酬をしてしまうと、山田は意外な強敵にたじたじとなってしまった。