松本清張
推理小説

「この方言は九州弁広島弁がまじっている。」
「他県からの客にはできるだけ標準語をつかった。」
「下坂一夫は、土地の言葉がよほど少なかった。というよりも彼は信子に会ってもなるべく標準語で話そうとしていた。彼はあきらかに土地の言葉を嬢悪していた。信子にはそれが同人雑誌に小説を書く彼の意識から出ていると思えた。」
「昂奮すると、彼のほうが標準語を完全に捨て、白身が軽蔑する佐賀弁まる出しとなった。」
東京語地方語とがまじっていた。」

「奥さんは東京弁のようですけど、東京のお方ですか?」

「言葉は関西弁のように柔かく、四国訛があった。」
「マネージャーは次第に佐賀弁になった。」


佐賀弁は声が高くて言葉が強い。朝、食事を持ってきた女中が気の毒がって、佐賀県人が二人で話ばしとると、他県の人はまるで二人が口喧嘩《くちげんか》ばしとるごと聞えてびっくりされますばんた、と云った。越智たちの四国言葉は関西弁のように耳にやわらかいので、女中はよけいにそう言い訳したのであろう。

四国訛の抑揚は関西弁に似ている。」


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Last-modified: 2023-02-24 (金) 00:03:15