横溝正史
小説
このへんの言葉は純粋の岡山言葉ともちがっていて、たぶんに播州なまりがまじっている。播州なまりは兵庫神戸あたりの言葉に似ている。
磯川警部は思わずお国言葉を吐きだした。
この讐部補はあなたというべきところを、ああたと発音する習癖があるらしい。
弁士
活弁
方言まるだしの立花警部補
ことばを語尾まではっきりいわぬ男である.口をもぐもぐさせながら.のろのろと語尾をにごすと、うわめづかいに相手をみるくせがある。
映画にでるゆかりは標準語のなかになまりのまじらぬようにと。げんじゅうな訓練をうけてきたにちがいない。しかし、あまりあざやかな標準語をあやつることが、村のひとたちの反感をまねくであろうということを彼女はよくわきまえているのである。だから歌名雄にむかってつかっている標準語のなかにも、ちょっぴり方言をまじえることを忘れない。
口弁のうまい男で、みんなころりとだまされてしもうて……
少しも関西なまりのないこの男
いまはこのへんの方言がすっかり板についている。