亀井孝ほか『日本語の歴史』平凡社
亀井孝大藤時彦山田俊雄


刊行のことば

第一章 言語の起源
  人類はいつから言語をもったか
  言語起源の研究はどのようにはじまったか
  動物言語の研究
  言語の起源は自然に発せられる音声・身振り 
  自然界の音響の模倣と考える説
  原始的な歌から言語がうまれたという説
  身振りから言語がうまれたという説
  子どもの片言から言語の起源が類推できるか 
  G.レーヴェースによる接触説
  言語の起源は人類の起源と一つの問題である
  言語の起源と日本語の歴史とのかかわりあい

第二章 日本語列島はいつできたか
 一 日本民族の祖先姑弥生時代人か
  列島最初の人類は日本人の祖先か 
  稲作の原郷をどこに求めるか 
  〈米の道〉を跡づける
  こうして弥生文化が成立した
  弥生時代と弥生文化
  弥生文化のもつ南方的要素
 二 稲作民族の原郷を探る
  黄河の水がうんだ原始文化
  農耕民がつくった仰韶文化
  竜山文化のひろがり
  殷周文化の発展
  中国南西部にみられる焼畑耕作民 
  揚子江流域の水稲耕作民
  道は海をこえてさらに東南アジアへ
  石斧の型が物語るもの
  中国からの文化の移動
  ドンソン文化とその系統
 三 古代国家の建国から統一へ
  日本歴史において古墳時代のもつ意味 
  古墳時代をどう区分するか
  弥生文化の流れをくむ前期古墳文化
  後期古墳文化にみる騎馬民族的性格
  騎馬民族による日本の征服
  記紀の神話が伝える征服者と被征服者 
  天孫降臨の地はどこであったか
  神武東征伝説から探る天皇家の出自
  なぜハツクニシラススメラミコトが二人いるか
  日本建国に参加した人びと
  中国の史書に記された〈倭王〉の称号 
  倭王と南朝鮮の覇者辰王のつながり
  なぜ海を渡って日本へ侵入したか 
 四 アルタイ語族の足跡
  アルタイ語族登場の前史
  牧畜民文化の展開
  沿海州文化の担い手
  朝鮮半島にアルタイ語族を探る
  日本列島のアルタイ語化について 
 五 形質と文化との複合性
  日本人は人種として一つか
  現代日本人の地方差
  東北はアイヌ型畿内は朝鮮型 
  地方差から日本人の起源を探る
  血液型によって人種の特色がどこまでわかるか
  非計測的な人種特徴からの推定
  現代人の人骨調査と赤血球異常からの推定    
  古代人の人骨研究がもつ困難な条件
  古代人骨から推測できるもの 
  民族の文化にみる複合的な性格

第三章 日本語の系統
 一 日本語系統論はどう展開したか
  日本語の起源をどう探るか
  言語の系統について
  基語とはなにか
  音韻法則に例外なし
  比較言語学は十九世紀ドイツの生んだ学問
  日本語系統論の背景
  系統論はどのように進んできたか 
 二 日本語の起源を南方に探る
  日本語は南洋語と同系かどうか
  借用要素としての南洋語
  南方説への問題点
  南洋語と琉球語との比較
  南洋語基層説への疑問
  南方説のミッシング・リンク
 三 日本語の起源を北方に求める
  日本語の北方起源説がもつイメージ
  アルタイ語族と日本語との関係
  なかでも重要な諸特質
  形式的類似だけで同系が証明できるか 
  アルタイ諸語の共通言語財はあるか
  日本語とツングース語との比較
  〈アルタイ語系統論〉の坐礁 
  日本語のなかのアルタイ層
  ここにもミッシング・リンクがある
 四 日本語にもあった母音調和
  母音調和と系統論
  ハンガリー語・モンゴル語の場合 
  朝鮮語の母音調和
  古代日本語の母音組織は八個
  〈有坂法則〉の発見
  日本語の母音調和への問題点  
  母音調和はどのようにしてうまれたか 
  母音調和をささえる発音の問題
  日本語の母音調和はなぜ消滅したか
  母音調和は系統論の決め手にならない 

第四章 原初の日本語
 一 民族のことばの確立
  有史以前の日本語を探るにはどうすればよいか 
  原(始)日本語という考え方
  日本語の歴史は民族の歴史とひとつである 
  民族のことばの確立
  民族語の形成は神話の体系化より先である 
  同族意識の絆としての言語 
  原日本語はいつどこで話されていたか 
  方言社会から民族語の社会へ 
  日本語列島の成立は遠い時代である
  古代日本に二言語併用〈バイリンガリズム〉があったかどうかの問題 
  原日本語に基層の言語があったかどうか
  地名に基層のなごりがみられるか
  古代の地名説話に共通するもの
  基層の謎がどう解けるか
 二 原日本語はどんな性格をそなえていたか
  原日本語の研究は系統論への露ばらい 
  歴史的研究の出発点となる原日本話
  方言の比較から原日本語を推定できるか
  琉球のことばから古形を再構する 
  琉球語と本土方言とはどちらが保守的か
  ハ行における有声と無声との対立 
  〈頭音法則〉として語頭に濁音をもたないこと 
  〈頭音法則〉として語頭にラ行音がこないこと 
  語頭の濁音をいとう言語感情 
  ことばの構造の原理は変わりにくい
  日本語のもつ〈開音音節のたてまえ〉 
  原日本語から連綿とつたわる構造の特質
  古代の文献にあらわれた若干の矛盾
  日本語は構造の面で歴史的に変化が少ない 
  原日本語の文法現象にみる特質
  格助詞〈の〉と〈が〉と〈に〉
  接続助詞の多くは新しい時代のもの
  奈良時代の接続助詞
  助詞の独立性の弱化を物語るもの 
  条件をあらわす助詞〈は〉
  古い日本語に接続助詞がなかった可能性
  古代語は動詞の活用形が独立していた
  原日本語へいたるまでの分化と統合
 三 《魏志倭人伝》のことばは日本語か
  中国の史書が記録した古代日本
  邪馬台国はどとにあったか
  《魏志倭人伝》に記録された日本の地名と官名 
  そこに登場する官名をどう比定するか 
  邪馬台と卑弥呼
  日本語としての《魏志倭人伝》のことば
 四 古い日本語のなかに埋もれたシナ語
  古代史におけることばの役割 
  古代における大陸からの帰化人
  シナ語が原始日本語にあたえた影響
  カールグレンのあげた郡→国のむすびつき 
  絹・馬・梅のもつ可能性
  君・文・紙などを古いシナ語と証明できるか
  琉球語はシナ語の影響をどううけたか 
  日本語は親族を失った孤児の語か

第五章 伝承の歴史とことばの役割
 一 伝承の時代
  「上古の世、未だ文字あらず」
  精神文化の百科全書としての役割  
  みだりに語ることを許されぬ伝承
  禍津日神によせる一つの解釈
  専門的な伝承の語り手の出現 
  語部と稗田阿礼
 二 伝承の定型《スタイル》と文学の発生
  記録は伝承の真の姿を伝えない
  延々たる神々の系譜
  きらびやかに修飾された人名 
  記憶と親近感を強める定型
  伝承の影を宿す枕詞
 三 古代人の言語観
  ことばに宿る霊力
  〈言霊の幸はふ国〉―言霊思想―
  宣言と呪詛のことば
  撃ちてし止まむ―歌の力―
  言霊思想とことばの力
  みだりに神の名を唱えるなかれ
  収穫増加を願う呪言
  会話のタブーという現象
  記録への道―まずはじめに絵がうまれた

あとがき

別欄


ことばと野生児 
〈原日本人〉の原郷土
野生稲とその分布 
石器時代の区分 
アジア人種の分類 
ダヤク族 
〈騎馬民族説〉の立論点 
〈騎馬民族説〉への反論 
氷河時代の区分
語族とアジアの言語 
種族文化複合の再構成
P音考
北方説はどう展開したか
南方説をすすめた人びと 
唇音・鼻音と調音 
屈折語とは何か 
高句麗語との数詞の比較 
有坂秀世の音節結合の法則 
ソスュールの業績 
言語年代学とはなにか 
絶妻の誓い 
ベツとナイのつく地名 
地勢にちなむ地名の研究 
邪馬臺と邪馬壹 
アイヌの〈ユーカラ〉
英雄叙事詩 
〈ノロ〉とくユタ〉
ことばと昔話・その1 
ことばと昔話・その2 

月報


首里語はどうなるか 比嘉春潮
スペイン人のみた日本語 ギレルモ・ミラレス
編集に参画して 亀井孝

執筆者

ライブラリー版

解説:鈴木広光


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Last-modified: 2022-08-07 (日) 23:44:11