三島由紀夫
阪急岡町駅
関西弁会話は少し
「あります」口調を、そのとき悦子は軍隊口調かと考えた。しかし今年十八歳の彼が軍隊に在ったわけはない。広島生れの三郎は標準語に倣おうがために、「あります」というのであった。
言葉にはどこの訛りか判然としない微かな訛りがあった。