井上光晴 小説
また九州弁で声高にしゃべりはじめ、
関西弁とも九州弁ともつかぬ奇妙な間合をとった声で繰返していた
明後日頃でもつくとやろかい」と九州弁でいった。
いま行っている大阪工科学校は乙種やさかいあかん」と覚えたての大阪弁でいった。
ひどく地方のアクセントのついた言葉で
「そいけんさ」さっきの男が地方のアクセントでくり返した。
「広島に着いたごたるね」九州弁の男がいった。
男の声が強いアクセントで揺れた。
明らかに朝鮮人とわかる発音でいった。