山本七平
顔見知りの衛兵司令の軍曹が出てきて、テレ臭そうにちょっと逆襲したが、あわてたためか、軍隊語でなく九州弁であった。「少尉殿う、憲兵ば見つかると、ウルサカ。バッテン……」そこで彼は少し気をとりなおして軍隊語にもどり、私を衛兵所に招じ入れた。