有吉佐和子
口調がいかにも公家風であった。
これが御所ことばの礼儀なのである。
耳慣れていない言葉となまりだったから、
なまりの違いは一朝一夕では変えることができない。新しい宮様は、どうやら関東の女のように思えるから、「有りがとう」にしても「御機嫌よう」にしても京なまりで言ってもらわないことには(中略)宮様に最小限必要な御所言葉と京なまりを、少進と観行院の二人で教えこむために、
宮様に少しずつ御所言葉と京なまりを覚えて頂いた。
井之口有一先生の「御所ことば」「尼門跡の言語生活の調査研究」という御本が上梓されていたのは有りがたかった。