有吉佐和子
彼の日本語は時折日本人より正確なことがあり、発音にもなまりがなかった。日本育ちの華僑《かきよう》青年かと最初崎子たちは思ったほどである。だが、純粋に彼は北京大学の東洋語科で学んだだけの日本語を話していた。
片言の日本語と、英語少々と仕方話を混えての話だったが、
あやふやな日本語と筆談