横山源之助
五代の人柄は、ざっと右のような人物。ナニ、風采《ふうさい》はどんなであったと? そうさ、脊丈《せだけ》のすらりとした、眼の鋭い、威厳のある男で、平常《ふだん》は冗談一ツ言わず、むッつりとした男じやった。最も経済の話説《はなし》になると、夢我《むが》夢中で、煙草の火の落ちたのも気付かずに話し込むという風で、薩摩弁であったが、舌鋒《ぜつぽう》は頗《すこぶ》る鋭かったわい。