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新潮日本文学大辞典

 蔚《しげる》 音韻学者
【姓名】泰山《やすやま》。字は文敬*1
【號】霧隱
【閲歴】生歿の年月未詳。その著「音韻断」(別項)は寛政十一年三月の刊で、自序は同年同月に成つてゐる。「韻鏡藤氏傳」の批評は寛政八年に成つたやうである。又その前に「百錬韻鏡」を著はしてゐるから、寛政の頃には相當の年齢になつてゐたと思ふ。京都の人であつたやうである。「音韻断」の総論に、蔚の「音韻ノ學、師承スル所ナシ」とあり、又音韻は蔚の専門とする所ではないと記してゐる。
【著書】音韻断(別項)○百錬韻鏡五冊。重修發音録一冊○解經秘蔵駁二冊。
【業績】その著「音韻断」は「磨光韻鏡」(別項)及び「韻鏡藤氏傳」(釋盛典*2)について、詳かに是非を論じ、不備・誤謬を訂正増補したものであるが、頗る卓見に富み、蔚が文雄・太田全斎(各別項)と比肩し得る音韻学者であった事が知られる。惜しむらくは、蔚は學界に知られず、その所説も學界に大きな影響を与ふるには至らなかった。〔亀田〕

大喜多蔚

http://tois.nichibun.ac.jp/hsis/heian-jinbutsushi/Heian/years_binka10/heian141.html

鍾秀斎

【著者】泰山蔚。文豹、霧隠、鍾秀斎。巻末の「泰山霧隠先生著述韻書続刻目録」によれば、著者には、『百錬韻鏡』・『重修発音録』・『解経秘蔵駁』があったらしい。また、『数学小成』の泰山蔚平も同一人であろう。京都の人。亀田次郎は『新潮日本文学大辞典』で「やすやましげる」の読みを採用しているが、文化十年版『平安人物志』の「韻」の部に載る大喜多蔚が、字文豹、号泰山であり、同一人であろう(泰山は姓ではなく、タイザンと読むものであろう)。大喜多蔚の名では『学林制法』*3の著がある。西本願寺の家臣であるという。文政五年版『平安人物志』では、後に「泰山」を名乗る大喜多巌が載るので、蔚はそれまでに亡くなったのであろう(あるいは隠居か)。
(岡島)


*1 「文豹」とあるべきところ
*2 誤り。
*3 http://dbrec.nijl.ac.jp/KTG_W_2185388

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Last-modified: 2022-08-08 (月) 10:01:30