中島広足
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片糸 一巻一冊
 中島廣足著。嘉永六年刊。本書は「ぬる」「つる」「にし」「てし」の用法を説いたものであって、初に先人の説を擧げて次に自家の説を記してゐる。即ち「ぬる」「つる」については宣長の「玉霰」、義門の「玉緒繰分」等の説を引いて前者は自然の語自ら然る語)を受け後者は使然の語求めて然する語)を受けるのが大體の法則であるが又互に通ずるものもあると云ふ義門や宣長の論を穏當であるとして、いづれかと言へば「ぬる」はやゝ重き方に「つる」はやゝ輕き方につくと思はれると云ってゐる。次に萬葉集八代集等に就いて「ぬる」「つる」等が如何なる語に續き、如何に用ひられてゐるかを研究してゐる。猶「にし」「てし」の類の用法を説いて「ぬる」「つる」の用法に略同じきものなりと記してゐる。以上本書の説く所「玉霰」や「玉緒繰分」以上に出るものではないが、多くの例證を擧げて詳細に研究し是等先輩の説を裏書きして居る點は大に多とすべきである。
(亀田次郎「国語学書目解題」)


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Last-modified: 2022-08-07 (日) 23:44:10