畳韻 じょういん 二字以上の漢字が同じ*韻母を持っている場合に「畳韻」という。同じ韻母といっても介母が異なっているのは許されるし、声調の違いも捨象される場合もある。同じ*声母を持っていることを示す「双声」と対にして言われることが多いが、中国語の擬声語・擬態語にあたるものは、双声・畳韻の何れかになっているのが普通であるし、擬声語などでないものでも、外来語ではなくて、一字一字に分解しがたいものは双声か畳韻になっているものが多い。なお後世の発音では同じ韻母を持っている語でも、その語の成立当時には別の韻母であったこともありうるので、畳韻語か否かは、その組合せが成立した時代・地域の音韻状態によって判断しなければならない。また畳韻は、双声とともに中国語の音節構造の音韻的特徴をあらわす現象であり、これらを意識することは*反切のさきがけとなったと言われる。『*広韻』の巻末に「双声畳韻法」が載せられているのも、反切を理解するためには双声・畳韻を用いて説明するとよい、という考え方を示している。
〔参考文献〕王力『漢語音韻学』(一九五六年 〈中国〉中華書局) (岡島昭浩)


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Last-modified: 2022-08-08 (月) 08:46:11