磯野秋渚撰
小笠原香雨書
明治37.1.7
又間精華堂 大坂市
手紙かく心得
凡そ手簡文は手短にして事を弁ぜんを第一の要とす くだ〳〵しく書きつらね又用ゐ慣れざるむつかしき字句を插むは動もすれば読む人の誤解を来すのみならず徒に人困となるなり 書く人心すべし
冗漫に流るゝはおもに御候などの敬語を濫用するが故なり 能く作例を見て知るべし
昔は御様などの字の書き方によりて尊卑の区別ありしが今はさる斟酌に要なし
御じ字を行の尾にかゝず 候の字を行の頭にかゝぬが昔よりの例なり
慶事には墨濃く弔事には墨淡くかくべし
巻紙のはじめをはりを二寸ばかりあけて書くべし 是は古今を折衷していふなり
著者誌す
報知類
依頼類
誘引類
贈遺類
請待類
借用類
見舞類
慶賀類
弔慰類
雑類