「おい、僕にまだ電話はかかってきいへんか」
と初めて囗をきいた。関西弁である。
一人は関西弁、その男は東京へ来ると寄るんです。
「おおきに」
男は関西弁で礼をいった。
「お金はいらないわ。じゃあ私、銀座に慣れますたい」
思わずお国なまりが出るほど強くいい切って、由子は銀座のバーヘとびこんだ。
「それで、一日二万円どすの?」
日本調が京都弁でのり出した。
「名前はいわなかった。電話口へ出てくれって、関西弁でドスのきいた男の声だったぜ」
「ここに、みどりて女はおらんか?」
男は関西弁だった。
もう一人の男から社長、社長と呼ばれているが、この男、言葉づかいが関西弁であるから、どうせどこか大阪あたりの中小企業の社長だろう。
男は叫んだ。言葉がいつのまにか関西弁から東京弁になっている。
「関西弁も、うまいでしょう」