蘿蘰 二巻二冊 安政四年堀秀成著。本書は廣蔭の「詞の玉橋」をやゝ委しくしたもので研究としては何等見るべきものがない。稀に「詞の玉橋」と異る説も有るが却って誤って居る、また「詞の玉橋」の缺點例へば動詞の活用に於いて命令形を逸して居るが如き大なる缺點も本書はそのまゝ継承して何等云ふ所がない。而して本書はかくの如くその所説を「詞の玉橋」に承け乍ら該書について何等記すところがないのは不思議である。 (亀田次郎「国語学書目解題」)