輪島裕介

創られた「日本の心」神話──「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史

はじめに〜美空ひばりは「演歌」歌手なのか?

第一部 レコード歌謡の歴史と明治・大正期の「演歌」
 第一章 近代日本大衆音楽史をご、つに分ける 
  まずは「レコード歌謡以前/以降」という区分
  第一期 レコード会社専属制度の時代 2
  流行歌と歌謡曲
  専属制度と「ティン・パン・アレー方式」の違い
  ヒット曲と映画の結びつき
  第二期 フリーランス職業作家の時代 知
  GSブーム
  GSは「日木のロックのルーツ」か?
  ポストGS期  テレビの影響力の増大
  ニューミュージックとイメージソング
  第三期 「J-POP」以降 42
  「テレビに馴染む歌謡」から「若者のカラオケに馴染む歌謡」へ
  誰が「演歌」と名づけたのか?
 第二章 明治・大正期の「演歌」 49
  二つの「演歌」
  添田唖蝉坊、添田知道親子に依存する語り
  旅する《ラッハ節》
  強まる歌詞と旋律の結びつき
  船頭小唄
  カチューシャの唄

第二部 「演歌」には、様々な要素が流れ込んでいる
 第三章 「演歌」イコール「日本調」ではない  66
  芸者歌手
  股旅物
  「声楽家もどき/くずれ」としてのレコード歌手
  昭和三〇年代の「日本調」
  田舎調
  船村徹と高野公男
  古賀政男と船村徹
  都会調
  低音の魅力
  作曲家・吉田正と「吉田学校」
  最も遅れ(入ってきた浪曲調  畠山みどりのインパクト
  都はるみの唸り節
  必須になった「長い下積み」の物語
 第四章 昭和ゴ、○年代の「流し」と「艶歌」
  「日本調ザ・ピーナッツ」こまどり姉妹
  「ギターを持った渡り鳥」小林旭
  アキラの「民謡調」
  「世界の流し」アイ・ジョージ
  「流し」とアウトロー
  北島三郎
  何でも歌う流行歌手
  美空ひばり
  《真赤な太陽》の違和感の理由
 第五章 「作者不詳と競作」のヒットー1一九六〇年代前半の「艶歌」 脚
  《北上夜曲》《北帰行》のヒット
  バタヤンと《島育ち》
  《お座敷小唄》のブーム
  《まつのき小唄》《アリューシャン小唄》《ひなげし小唄》
  アウトローの「流し歌」   《網走番外地》《東京流れもの》《夢は夜ひらく》
  園まり《夢は夜ひらく》と「無国籍歌謡」
  《カスバの女》と「韓国メロディー」
  専属制度からの逸脱としての「作者不詳の競作曲」
 第六章 ご当地ソング、盛り場歌謡、ナツメロ  鴎
  《柳ヶ瀬ブルース》と「ご当地ソング」、
  有線放送というメディア
  地方盛り場の「小都会化」
  青江三奈と森進一、そして川内康範
  レコード会社専属制度からの脱却
  浜口庫之助の広範な仕事
  「ナツメロ」という新ジャンル
  専属制度の危機
第七章 昭和四〇年前後の「艶歌」「演歌」の用法  
  「演歌」と「艶歌」の区別
  「演歌師」の犯罪報道から歌謡スタイルへ
  不景気には「演歌」が流行る?
  一九六五年の「艶歌ブーム」
  「演歌ブーム」の顛末

第三部 「演歌」の誕生
 第八章 対抗文化としてのレコード歌謡  
  進歩的知識人によるレコード歌謡非難
  革新勢力の「俗悪文化」への敵意
  「日本r供を守る会」による《横須賀タマラン節》追放運動
  思想の科学『夢とおもかげ』の「流行歌」論
  「進歩的」音楽実践の諸相
  左翼音楽エリート・いずみたく
  三木鶏郎と放送音楽
  「洋風」イコール「健全で家庭的」
  反i進歩派的レコード歌謡論の萌芽
  六〇年安保闘争と《アカシアの雨がやむとき》
  寺山修司と森秀人の《アカシアの雨》論
  竹中労『美空ひばり』
  社会主義リアリズム的美空ひばり
  「植民地的エリート」批判のトリック
 第九章 五木寛之による「艶歌」の観念化
  「演歌」の発明者・五木寛之
  小説「艶歌」のドラマツルギー
  「艶歌の竜」と馬渕玄..一/
  五木寛之における「艶歌的人物像」
  「こぶし」「唸り」「奴隷の韻律」
  「演歌」が「艶歌」に転じた
  「艶歌」のカテゴリー化
  小説「艶歌」以後
  新左翼論壇の「艶歌」論
 第一〇章 藤圭子と「エンカ」の受肉  52
  「演歌の星」藤圭子
  五木寛之の小説のような歌手
  五木寛之による藤圭r評
  新左翼アイドル
  藤耄子と「フォーク」
  藤圭子と「アイドル」
  虚構の「素顔」と戯れる
 第一一章「エンカ」という新語  塑
  一九七〇年版『現代用語の基礎知識』
  一九七一年の「新しい演歌への第一歩」
  『平凡パンチ』と「演歌」
  川内康範、演歌は日本人の歌だ」
  「エンカ」と「軍歌」
  「流行現象」としての「演歌」
  ザ・ピーナツ、嚇・〆における「演歌」と「ニューロック」の邂逅
  「演歌」と「日本」をつなぐロジック
  演歌・任侠映画・劇画

第四部 「演歌」から「昭和歌謡」へ
 第一二章 一九七〇年代以降の「演歌」  94
  びんからと殿キン
  五木ひろしと八代亜紀
  「演歌」の健全化
  演歌の韓国ルーツ説
  「カラオケで歌われる歌」としての「演歌」
  「演歌」と「みなさまのNHK」の結合
  カラオケによる歌詞と曲調の均質化
  カラオケの「脱演歌化」
 第一三章 「演歌」から「昭和歌謡」へ  
  「演歌」は歴史的役割を終えたか?
  「J-POP以外すべて」としての「演歌・歌謡曲」
  「サブカル趣味」としての「昭和歌謡」
  「失われた」文化としての「歌謡曲」
  二一世紀の流行現象としての「昭和歌謡」
  「昭和歌謡」の氾濫
 終章 「昭和歌謡の死」(と再生)  
  阿久悠の死
  半田健人
  どこへ行く「演歌」

参考文献 


トップ   編集 凍結 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2023-07-16 (日) 23:47:56