邦光史郎

 一小説・松下王国-

堅苦しい国語読本を読み上げるような口調

船頭たちの九州弁が賑やかだった。

いまだに軍人訛の抜け切らない庶務主任

小室は英之助と同じ和歌山の出身で、何かというとすぐ"連れもって行こら”と和歌山弁で誘って、

「いや、こっちこそ……。和歌山弁で、いっしょに手をとり合っていくことを、連れもって行こら”といいますが、まアーつ仲ようやりまひょな」

いつの間にか、あたりは聞きなれない東京弁の世界に変っていて、


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Last-modified: 2023-07-11 (火) 22:08:50