邦光史郎
一小説・松下王国-
堅苦しい国語読本を読み上げるような口調
船頭たちの九州弁が賑やかだった。
いまだに軍人訛の抜け切らない庶務主任
小室は英之助と同じ和歌山の出身で、何かというとすぐ"連れもって行こら”と和歌山弁で誘って、
「いや、こっちこそ……。和歌山弁で、いっしょに手をとり合っていくことを、連れもって行こら”といいますが、まアーつ仲ようやりまひょな」
いつの間にか、あたりは聞きなれない東京弁の世界に変っていて、