野村胡堂
銭形平次捕物控

弁慶読み


「――エー、鈴はいりませんか、大きいのは拝殿の鈴から、小さいのは|鋏{はさみ}の鈴、腰下げからポックリの鈴――新しいのもある、古いのもある。金の鈴、銀の鈴、|真鍮{しんちゆう}の鈴、|銅{あか}の鈴――、|足結{あゆい}の鈴、手の鈴、|釧{くしろ}の鈴、大刀の鈴、鈴鏡。さては犬の鈴、|鷹{たか}の鈴、凡そ鈴と名の付くものなら何でもある――鈴は要りませんかな――」
 ガラッ八は時々|懐{ふところ}を覗いて、|仮名{かな}で書いて貰った口上書を|弁慶{べんけい}読みにしながら、こう言った声を張り上げました。


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Last-modified: 2022-08-08 (月) 10:07:46