山本正秀
『近代文体発生の 史的研究』
一九六五年七月三一日 第一刷発行
一九八二年九月一〇日 第二刷発行
岩波書店
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目次
序(久松潜一)
凡例
序章
第一節 日本近代文体の形成と言文一致運動
一 逍遙・花袋・藤村の表現苦時代回想
二 外国の近代文体革命
三 日本近代文体の性格と言文一致
四 言文一致ということ、その問題点
第二節 日本近代口語文の種類と特質
一 文章の分類
二 日本近代口語文の種類と特質
三 日本近代口語文の特性
第三節 言文一致運動史の時期区分と各期概観
一 言文一致運動の時期区分
二 各期概観
前期 言文一致の発生(慶応2年─明治16年)
第一章 洋学者の著訳書に現われた近代文体の胎動
一 蘭学者らの漢字批判
二 言文一致文体観の胎動
三 蘭語学書訳文にデアル体出現
四 英語会話書の談話体訳文
五 英文典・英語リーダー類の直訳口語文
第二章 前島密の言文一致創唱
一 前島密の『漢字御廃止之議』建白
二 明治初年の国字国文改良建議
三 民衆のための平がな新聞創始
第三章 福沢諭吉の「世俗通用の俗文」創始
一 「世俗通用の俗文」意識
二 福沢調の実態
三 『文字之教』の意味
四 言文一致への地ならし
第四章 雑誌上の言文一致改良意見
一 明治六、七年頃文部省言文一致施行のための取り調べのこと
二 西周の『洋字ヲ以テ国語ヲ書スルノ論』
三 清水卯三郎の平がな専用言文一致の論
四 和田文の『書語口語同ジキヲ欲スルノ説』
第五章 大新聞紙上の文章改良論
一 渡辺修次郎の『日本文ヲ制定スル方法』
二 福地源一郎の『文論』
三 朝野新聞社説『日本文章論』
四 大槻文彦の日本文典制定論
五 福地源一郎の『文章論』
六 文福斎のかな書き談話体普通文論
第六章 「デゴザル」調の開化啓蒙書出版
一 加藤弘之の『交易問答』『真政大意』
二 西周の『百一新論』
三 明治開化物の談話体出版
四 「デゴザル」調の由来
第七章 明治初年小学校教科書の文体
─「会話篇」「連語篇」の談話体─
一 古川正雄著『ちゑのいとぐち』
二 文部省編の『小学読本』二種
三 文部省編『小学教授書』の談話体
四 『会話篇』の談話体
第八章 『ものわりのはしご』と『天路歴程意訳』
一 清水卯三郎訳著『ものわりのはしご』
二 『天路歴程意訳』
第九章 小新聞談話体文章の実態と言文一致意識
一 小新聞の特色
二 読売新聞
三 平仮名絵入新聞→東京絵入新聞
四 仮名読新聞→かなよみ
五 三都流行の小新聞
六 大新聞雑報の一部口語化
七 小新聞談話体の意義
第一〇章 談話体一部採用の啓蒙雑誌
一 「民間雑誌」の談話体四篇
二 「明六雑誌」上の演説談話体
三 「七一雑報」の談話体
四 「智慧の庫」の談話体
五 「団々珍聞」の談話体
第一一章 植木枝盛の談話体『民権自由論』二書
一『民権自由論』
二『民権自由論二編甲号』
後期 言文一致論の前進・言文一致体小説の流行(明治17年-明治22年)
第一章 政党小新聞社説の口語化と読売新聞の談話体投書文
一 政党小新聞の出現
二 「自由燈」社説の談話体創始と東京語採用論
三 「絵入自由新聞」社説の談話体採用
四 「改進新聞」社説の落語調対話体
五 「土陽新聞」社説の植木枝盛『育幼論』
六 「読売新聞」投書文の談話体
第二章 「かなのくわい」の活動と言文一致
第一節 「かなのくわい」機関誌上の言文一致現象
一 「かなのくわい」の成立と機関誌
二 三宅米吉のかな文言文一致化論
三 島野静一郎の東京語採用言文一致論
四 片山淳吉の小学校教科書等言文一致化論
五 「かなしんぶん」と「かなのざつし」
六 三宅米吉の「ぞくご を いやしむな」
七 片山淳吉の話し方教育提唱
八 林茂淳の言文一致会設置創唱
九 平田東雄と高崎正風
一〇 物集高見の『げんぶん いつち』
一一 林甕臣の『言文一致速記字会創立意見』
一二 大槻文彦の言文一致手紙文範『てがみ の かきかた』
一三 末松謙澄のデス採用勧告演説
一四 平井正俊の『にほん の ぶんぽう』
第二節 物集高見の『言文一致』出版とその影響
一 物集高見著『言文一致』
二 物集高見の言文一致の由来と限界
第三節 後藤牧太の言文一致体かな文
第三章 田口卯吉の近代文体創見と言文一致体ローマ字文創始
一 二つの社会改良論
二 『日本開化の性質』の成立
三 『日本開化の性質漸く改めざるべからず』
四 『NIPPON KAIKA NO SEISHITSU』
五 『意匠論─文学之部』
第四章 「ROMAJI ZASSHI」と言文一致
一 「ROMAJI ZASSHI」と漢文くずし体
二 田口卯吉の言文一致体ローマ字文創始
三 クサノ・アマガイ両氏のローマ字文言文一致化論
四 チェンバレンの言文一致勧告
五 明治二〇年度「ROMAJI ZASSHI」の言文一致化現象
六 ヒカミカクタロウの『言文一致』
第五章 国字改良よりも言文一致を先に
一 神田孝平の『文章論ヲ読ム』
二 「東京日日」社説の文章改良論三篇
三 「明治日報」社説『文章の改良』
四 末松謙澄の『日本文論』
五 矢野文雄著『日本文体文学新論』の非言文一致両文体論
六 「教育雑誌」上の言文一致卓論二篇
七 杉浦重剛の『日本の言語文章』
第六章 速記出版物の言文一致促進
一 日本速記術の発生と応用
二 田鎖綱紀の、速記法による言語文章改良意見
三 三遊亭円朝『怪談牡丹燈籠』の出版
四 『塩原多助一代記』その他の円朝速記物
五 円朝速記物の反響・その由来
六 松林伯円『安政三組盃』と講談落語速記出版の流行
七 演説の速記と林茂淳
第七章 「いらつめ」同人らの言文一致活動
一 「いらつめ」発行と言文一致
二 中川小十郎・正木政吉の『男女ノ文体ヲ一ニスル方法』
三 西邨貞の『日本普通文ノ前途』と伊沢修二の談話体採用
四 新保磐次著『日本普通文何如』
第八章 小学国語読本の談話体採用
一 新保磐次著『日本読本』
二 文部省編の『読書入門』と『尋常小学読本巻之一』
三 西邨貞著『幼学読本』第一・第二
四 下田歌子著『国文/小学読本』
五 東京府庁編『小学読本』
第九章 坪内逍遙の小説文体改良論と『此処やかしこ』
一 言文一致体小説の創始者と流派
二 『小説神髄』の文体論
三 『文章新論』
四 『此処やかしこ』の言文一致体
五 逍遙の文体敗走
第一〇章 二葉亭四迷の言文一致活動
一 根底としての徹底写実主義
二 旧文章との相剋
三 俗語本位と俗語洗練
四 『通俗虚無党形気』ほか
五 『浮雲』の文体分析
六 『あひゞき』『めぐりあひ』とその影響
七 『文学の本色及び平民と文学との関係』口訳文
第一一章 山田美妙の言文一致活動
一 美妙小説文体の時期区分
二 言文一致以前の美妙
三 美妙の言文一致の動機
四 言文一致処女作『嘲戒小説天狗』
五 『風琴調一節』緒言と『自序』
六 『風琴調一節』
七 『武蔵野』『花の茨、茨の花』
八 『夏木立』の文体批評
九 「だ」調から「です」調へ
一〇『空行く月』から『花車』まで
一一 『蝴蝶』
一二 『この子』から『いちご姫』へ
一三 言文一致詩の創試
第一二章 嵯峨の屋おむろ・森鴎外の言文一致活動
第一節 嵯峨の屋おむろの言文一致活動
一 在来の嵯峨の屋評価
二『薄命のすゞ子』─「である」調の創試
三『初恋』 ─「だ」調秀作
四 『野末の菊』以後「であります」調へ
第二節 森鴎外の言文一致活動
一 鴎外翻訳小説の言文一致体
二 翻訳物以外の言文一致体
第一三章 硯友社諸家の言文一致同調
一 巌谷小波
二 鹿堂閑人・喜多川麻渓
三 広津柳浪
四 石橋思案
五 大橋乙羽・多田漁山人その他
第一四章 硯友社以外の言文一致同調諸家
第一節 言文一致体小説諸家
一 饗庭篁村『西洋怪談 黒猫』
二 石橋忍月
三 内田魯庵
四 武田仰天子・若松賤子その他
第二節 言文一致体翻訳文学諸家
一 フォスタル原著『福音の譚』の口訳出版
二 在一居士訳『王様の新衣裳』
三 上田万年訳『おほかみ』
四 益田克徳訳述『夜と朝』
第三節 小島一騰著『日本新字発明』と林甕臣『言文一致歌』
一 小島一騰著『日本新字発明』
二 林甕臣の『言文一致歌』
第一五章 翻訳文体の発達
第一節 翻訳小説文体の進化─周密文体から言文一致へ─
一 明治一七年以前の翻訳小説文体
二 『繋思談』・森田思軒の周密文体
三 末松謙澄訳『谷間の姫百合』
四 二葉亭・鴎外の言文一致体翻訳小説その他
第二節 評論界の欧文直訳派と漢文直訳派
第一六章 明治二一年前後の言文一致論争
第一節 「学海之指針」誌上の言文一致可否論
一 辰巳小次郎の『駁言文一致論』
二 山田美妙の『言文一致論概略』
三 山田美妙の『日本俗語文法論』
第二節 森田思軒・二葉亭四迷の『日本文章の将来』
一 森田思軒の欧文直訳体改良普通文論
二 二葉亭四迷の言文一致必至論
第三節 「文」第一巻の言文相近論
一 有賀長雄の『日本国文論』
二 三宅米吉の『言文一致ノ論』
第四節 西村茂樹の『日本文学論』中の文章論
第五節 「読売新聞」紙上の言文一致論争
一 『思付たる事(言文一致)』二篇
二 吉川ひで『言文一致』
三 星の家てる子『言文一致といふことに就て』
四 思案外史『言文一致に付いて』
第六節 「文」第二巻・第三巻の言文一致論戦
一 「文」第二巻・第三巻掲載の言文論
二 児島献吉の『文章論』他一篇
三 美妙『言文一致小言』と瓢蕈生駁論
四 「文」第二巻・第三巻以下の論争要点
第七節 落合直澄の『普通語に付て』
第八節 尾崎紅葉の『読者評判記』
第一七章 文体一定の気運、和漢洋三体の折衷へ
第一節 藤井生『将来の日本文章』
第二節 日本文章会の新和文体普通文運動
一 萩野由之『和文ヲ論ズ』
二 関根正直の『国語ノ本体并ヒニ其価値』
三 日本文章会
四 落合直文の『文章の誤謬』
第三節 言語取調所の創設と言文一致普通文体策
第四節 明治二二年の文章界
一 逍遙の明治二二年小説文章総まくり
二 西鶴調雅俗折衷体の擡頭
三 斎藤緑雨『小説八宗』
四 内田魯庵の『今の小説界文派』
年表
あとがき
索引