渡辺三男『日本人の名まえ』
名づけ
渡辺三男
日本の人名〔新装版〕
 昭和51年11月10日 第1刷
 昭和52年6月28日 第2刷
毎日新聞社

まえがき
人間の名まえ
 すべてのものに名ま
  歴史は「名まえ」の工夫から
 欲ばっている人間の名まえ
  俳号模索の芭蕉の執着
  ろくでもない名への妄執
 人間の名まえの条件 識別性+アルファ
  符号では満足できない
  意味とひびき、文字の形も
 移り変わりとさまざまの名まえ
  名まえも幾変遷
  鳩山・伴睦・岸にも愛称
  ″モサさん″ "徳球″ ″明徳院殿”
  名まえの形而上学
 実名は父祖のねがい
  男児生誕せば久太郎
  芸術家兄弟、伊藤一家
  処世観から改名?
  名まえを裏切る不徳な男たち
  愛児に託す父の夢
 ニックネームは他人の評価
  代議士「オイカヨサン」氏
 別名は自己の標榜
  別名にひそむ彼を解くカギ
実名敬避と複名の習俗
 一人で數々の名を
  義仲・山陽・実演・武蔵ら
  実名・通称・字に別号
  レコード保持者、滝沢馬琴
 その人の名は言いたくない
  名まえはその人自体
 実名直称のタブー
  文明人にもこのタブー
  「いむ」「忌」「畏」 神聖・禁戒
  肩をはっていた兵長さん
  ひたすら権威保持のために
  敬意を表して実名呼ばず
  穂積博士の論証
 うすれてゆく敬避俗
  親愛感を実名で
出生名と古代人名の類型
 出生名 無定名から実名習俗へ
  「おい」ですむただ一人
  未開社会は無定名
  定名のよりどころをどこに
 出産の場所や乳母の名
 「ホデリ」「ホオリ」は出産時の事象から
 「今日子」「メイコ」「カソナ」「勝男」
  上古の命名方式
  采女・乳母にちなんで命名
  困難な命名方式と時代考証
 古代人名の類型
  栗田博士の十六類型
  私案二十分類

人名の大陸模倣
 日本人の個有の名まえ
  自由に名付けた上代人
 万葉仮名から二字の漢字
  名の表記の移り変わり
 帰化人から僧侶・知識人へ
  蘇因高こと小野妹子も拝唐思想から
  終戦時の拝米熱以上
  率先垂範した嵯峨帝
 単姓と反名による唐風化
  藤原→「藤」の単姓化の風習も
  反名・相近名の方法
  音読で大陸風に「道風《とうふう》」や「行成《こうぜい》」

幼名・実名・通称・字・号
 幼名
  幼少時は愛称がピタリ
  成年の日に捨てられる幼名
  尾張徳川家の場合
  愛児の成長をねがって
  非人・乞食が名付け
  幼名「捨男」「捨吉」「捨八」など
  愛児「棄丸」を失った秀吉の悲嘆
  秀頼には「ひろい」と命名
  ″丙午″など愚かな迷信
  元服で幼名から実名・通称に
 沖縄の童名
 実名 本名・名乗・二字・
 諱・謚
 通称
  他人は通称で
  公卿は住地.官位で代用
 排行によるもの・―排行名
  宇津保物語、保元物語から
  家系尊重の意識
  排行プラスアルファで区別
  源平武士の排行名
  現代代議士諸公の排行名
  排行に無関係の「某郎」も
 官職位階によるもの 百官名
  官職を銭穀で、三等官は二百匹
  百官名のいろいろ
  義士の百官名系通称
 字(あざな)
  「宇」=大陸ふう″通称″
  学問はじめに「字」を
  漢学の素養から通称・字併用
 号(雅号)
  大陸から伝来の雅号
  有識階級に滲透した雅号
人名の階級性と消えゆく雅号
 人名の階級性 上ッ方の諱は敬避
  人名・郡名にもご法度
  最後の一画を略す闕画
  主君信長から秀義↓秀吉
 一字拜領
  建武中興で「高氏」から「尊氏」に
  五十七家ある松平氏
 人名の水平化
  ○○子は明治中期から
  自然な名まえの現代劇俳優
  日本画家は雅号、洋画家は本名
  文壇人筆名一覧
 消えゆく雅号
  徒然草にも″益なき事”と
  雅号を棄てた文壇人

筆名とその類型
 筆名について
  筆名-作名―ペンネーム
  公任らの筆名
 筆名の類型 
  林髞=木々高太郎その他
  鉛筆をおとした音から「弴」
 筒約・増広によるもの
   「勇次郎」略して「小杉勇」
 顛倒・対照によるもの
  大森実=実森大、清河を河清
  貝原益軒・貝原損軒
  他の字を借りて円地文子=富美
  ヘボン=平文、コルトー=孤留島
  響きを美しく鳳晶=与謝野晶子
  くたばってしまえ=二葉亭四迷
  獅子文六=牡丹亭主人
  数寄屋橋に住み北村「透谷」
  青山学院生、東郷青児
  司馬遷におよばず司馬遼太郎
  謙信↓上原謙、信玄↓佐分利信
  もじり・模倣のいろいろ
 自然諷詠によるもの
  山川草木、花鳥風月
  宮様方の「おしるし」も
 詩歌文章によるもの
  和歌・漢詩などから
 実名存余によるもの
  ズーズー弁にも無難な「太宰治」
 
  道義的な別名など各種
  趣味・性癖・職業・排行・外貌の特色
  各型複合のものなど
  切ない恋情、藤村の「古藤庵無声」
  成行きにまかせる素髄、吉Ⅲ茂

一字名
 好みによって工夫する一字名
  著名人の一字名
  愛する草木を家号に
  太閤の一字名「松」の意味は?

女性の名の移り変わり
 女性の名まえを掘りさげる
  男子の名でもあった「△△子」
  日本語「こ」の意味するもの
  古代女性に多い「○○め」
  平安末に至る皇后と妃たち
  やがて「○○子」は貴族女子の専用に
  女性の名の研究の障害
  「売」や「刀自」をなぜ捨てた
  庶民の女には二音の名を
  「お市の方」から「幸田文」さんまで
  「○○子」型の風靡
  再び二音節型の復活へ
王朝女流の呼び名
 小説『源氏物語』の人々
  総勢四三〇人の大ロマン
  その男たちの称呼の方式
  その女たちの称呼の方式
  地位の変化につれて変わる名
  男性よりも複雑な女性の呼び名
 王朝文学に現われた女性の名
  とりあげた作品群
  王朝女性名の十一の類型
  高貴の女性の名も訓読のはず
戯名と匿名
 諷刺小ばなし作者の戯名
  ふざけた名、甘井羊羹
  珍名・戯名・落書集
  世相を諷した落書各様
 覆面批評家の匿名
  平安初期に多い読人しらず
  最初の匿名作家は紀貫之
  逍遙の「匿名の動機」
  平安・鎌倉のころの匿名応酬
  二十年間匿名の各務支考
  明治時代の匿名一覧表
  戦後も匿名は花ざかり
追放者の改名と亡命者の変名
 追放者の改名
  改名して追放、三十九号氏ら
  逃避成功の源義経
  法然・親鷽も藤井某
  前座主藤井松枝
 亡命者の変名
  大和坊こと源義経
  維新の志士も変名・偽名
  垣見五郎兵衛こと大石内蔵助
  日共幹部らの変名
  日本晝紀にみる変名
ニックネームとその類型
 ニックネームについて
  あだ名、しこ名
  七日関白、藤原道兼
  『空拝大将』の異名
  犬公方綱吉の執念
  明治大帝も軽薄子のお仲間
  映画「生きる」の紳士たち
  名曲『英雄』『田園』もニックネーム
 ニックネームの類型 性格からきているもの
  「雷おやじ」「ゲラ子」など
  頭脳型ニックネーム
  天下誹謗の大悪天皇
 「悪次」「悪五」「悪源太」など
  チョキ舟=松陰も性格から…
  藤村は「石炭がら」
 風貌によるもの
  七つ夏目の鬼瓦
  チャプチャン、皇太子
  千円札になった往年の青ヒョウタン
  大学者アンパニウス
  「巨頭公」「猿」「独眼竜」など
  赤鬼・青鬼・白鬼のむれ
 語癖・失言から
  「おらが大将」田中首相
  おっと失言「太陽サン」
 簡称によるもの
  カトカンーコンツルーデコちゃん
  荒畑寒村-バタバタキャンソン
 勢威強盛のゆえに
  大ばやり、天皇・大御所・神様
  夜の関白の異名
  黒衣の宰相
 先人に擬したもの
  市川崑のコン・コクトーなど
  動物好きから「ねずみ博士」
 行跡からついたもの
  お米将軍やお天気博士
  母物映画専門の「ママ」さん
 住居にちなんだもの
  「駿河台のご隠居」
  「島の大臣」蘇我の馬子
 特技からとったもの
  佐藤「早耳栄作」
  代議士「五時半先生」
  風貌・もじり複合の重光葵
  「テキサスの哲」川上哲治の場合

姓名判断は当たるか
 迷信のしぶとさ
  街に氾濫する姓名判断書
  性格は名まえで形成できない
  本を出すなら「姓名判断」書?・
  名まえはプラスに解釈すべし
 姓名判断は当たるか
  三十二画は果たして大凶か
  十人の遭難幼児の名の吉凶
 姓名判断の諸流
  理由のない画数勘定
  五性の音霊? 判断法
  苦心の命名「義勝」は夭折
 改名大ばやり
  一家改名の中村錦之助
  死亡届に通用しない改名
 改名はできるか
  混乱防止上、規制が必要
  家裁の認める改氏実例
いい名まえのねらい
 いい名まえの三つの条件………
  最短小の詩、名まえ
 識別性の追求
  伊藤博文崇拝の大松家
  混乱する同姓同名
 平明さとの調和
  珍名・奇名の一覧
 皇族・旧大名の中にも
 名まえは人から呼ばれるためのもの
  間違って届出た犬養健
  時代とともに名まえも変わる
  二十三とおりある「和」「順」
  これからの名まえのねらい
名まえになる地名 291
 自由な気持で選ぼう
  地名からとった試案
書名の変更について 296-297
名まえ索引 1-16


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Last-modified: 2023-07-23 (日) 12:23:39