用言変格例 一巻一冊
鹿持雅澄著。明治二十六年刊。本書は動詞の諸活用を研究してその原形を求めたものである。即ち著者は四段活用を常格として他の活用の凡てを變格と云ひ、下二段・上二段等を初めその活用は大抵四段から轉生したもので四段活は諸活用の根本であらうと云ふ事を述べてゐる。已に雅澄以前に記紀萬葉の頃と平安朝以後とは用言の活用で異るものがある事を説いた學者があるが雅澄の如く比較研究の上にたって活用の本源を探ったものはなかった。この活用研究の根本問題を多少の不備はあるにせよ、兎に角最初に略正確に説いた卓見と功績とは國語學史上に永く遺るものであってその後現代諸磧學のこの種研究も結論は等しく四段活を根本としてゐる。
【參考】* 日本動詞活用古形論。亀田次郎 「[[帝國文學]]」十四ノ三・五・六・七。(亀田次郎「国語学書目解題」)
http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/syomokukaidai/ya/kaidai_ya026.html
新潮日本文学大辞典 亀田次郎
http://f.hatena.ne.jp/kuzan/20120104110917